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お酒の基礎知識

お酒いろいろ お酒の豆知識

お酒って、なに?

 

日本では、アルコールを1%以上含む飲料のことを『酒類』とし、1953年に制定された『酒税法』で規定しています。お酒の定義は世界共通ではなく、アメリカでは0.5%以上、EU諸国では1.2%以上がお酒です。

 

アルコールには『エチルアルコール(慣用名:エタノール)』や『メチルアルコール(同:メタノール)』『プロピルアルコール(同:プロパノール)』がありますが、お酒として飲めるのはエチルアルコールだけです。日本語では『酒精』。原料となる糖分を『酵母』という微生物が分解することによって造られます。

 

お酒に含まれるアルコールの体積濃度を『アルコール度数』といい、日本では百分率で『〜%』または『〜度』で表現されます。

 

たとえ1%未満のアルコール飲料でも、たくさん飲めば酔ってしまいます。『ノンアルコール』『アルコールフリー』とうたっていても、わずかにアルコールを含む製品もあるので注意が必要です。近年は完全にノンアルコールのものは『0.00%』、わずかに含むものは『微アルコール』などと表記されることも多くなりました。

お酒を飲むと、なぜ酔うの?

 

お酒を飲むと酔うのは、含まれているアルコールの影響です。体内に入ったアルコールは胃で約20%、小腸で約80%吸収されて血液に溶け込み、肝臓に運ばれます。そこで分解がはじまるのですが、すぐに分解してしまえるわけではありません。多くのアルコールは心臓に送られ、そこから血液によって全身に運ばれるのです。

 

アルコールには麻酔作用があり、血液によって運ばれたアルコールが脳に到達すると、中枢神経を麻痺させます。これが『酔う』ということです。アルコールが脳に到達するまでには約30分〜2時間ほどかかるとされているので、飲んですぐには酔っていなくても、”あとからまわってくる”のですね。

 

どれくらい酔っているかは、アルコールの血中濃度(%)で判断されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お酒に "強い人" "弱い人"

 

体内に入ったアルコールは、肝臓の酵素の働きによって水と二酸化炭素に分解され、尿や汗、呼気として排出されます。

 

具体的に書くと、まず肝臓内の細胞にあるADH(アルコール脱水素酵素)やMEOS(ミクロゾームエタノール酸化系)の働きにより、『アセトアルデヒド』に分解されます。このアセトアルデヒドは毒性作用のある有害物質で、悪酔いや動悸、頭痛や吐き気を起こす原因となります。

 

次にアセトアルデヒドは、代謝酵素の『ALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)』の働きにより、酢酸(アセテート)に分解されます。酢酸は人体に無害なので、血液によって全身を巡るうちに、さらに水と炭酸ガス(CO2)に分解され、最終的には尿、汗、呼気となって体外に排出されるのです。

 

ところが、この有害なアセトアルデヒドを分解する酵素『ALDH2』の活性は人によって異なり、その働きが弱いとアセトアルデヒドが貯まりやすく、分解が困難になります。つまり、ALDH2の働きが強いと酒に強く、ALDH2の働きが弱いと酒に弱いというわけです。

 

じつは、日本人の約44%はALDH2を持たないか、その働きが弱く、アセトアルデヒドが分解できないか、貯まりやすいことが科学的に証明されています。この遺伝的体質は日本人などのモンゴロイド特有のもので、アフリカ系やヨーロッパ系の人種には見られません。

お酒の種類

世界には、数え切れないほどのお酒があります。毎年発行されている「世界の名酒事典(講談社)」という厚さ4センチ近いカタログ雑誌を見てみると、数年前までは1万3000点もの酒が収録されていました。

 

あまりに多過ぎるためか、近年は掲載製品が絞られてきていますが、実際、世界にはこの雑誌に載っている数の何十倍もの銘柄があるといわれています。

 

しかし、これらを銘柄ではなく酒の種類で数えてみると、思いのほか多くはありません。大別するとたった3種。ていねいに分けてもせいぜい15種ほどなのです。

 

つくり方から3つに大別すると、

  • 醸造酒……ビール、ワイン、日本酒など

  • 蒸留酒……ブランデー、ウイスキー、スピリッツ類、焼酎など

  • 混成酒……リキュール、梅酒など

 

すべてに共通しているのは、エタノール(エチルアルコール)が含まれていること。日本では100ml中に1ml以上のアルコールが含まれている飲料を酒類と定義しています。アルコール度数で言うと1%以上ということです。

 

で、このエタノールとやらは、原料に含まれる「糖質」が微生物である「酵母」の働きによって分解された際に生成されます。これをアルコール発酵と言います。

 

アルコール発酵によってできた酒が「醸造酒」。

その醸造酒を蒸留したものが「蒸留酒」。

蒸留とは、醸造酒を熱して気化させ、再び液体に戻すこと。そうすることでアルコール分が濃縮され、醸造酒よりアルコール度数が高くなります。

そして3つめ、醸造酒や蒸留酒に香りや味をつけたものが「混成酒」です。

 

焼酎、ブランデー、ウイスキー、スピリッツ類(ジン、ウォッカ、ラム、テキーラなど)は、すべて蒸留酒というカテゴリーに属します。

お酒を醸すのは酵母

 

お酒を飲むと酔うのは、お酒にアルコールが含まれているから。ではそのアルコールは、どうやって含まれたのでしょう? 製造工程で加えたの? 世の中にはアルコールを添加して造られる酒もありますが、ほとんどの酒のアルコール成分は『酵母』が造り出したものなのです。

 

酵母は単細胞の微生物で、球形または楕円形をしていて、その直径は5〜10μm。1mmの100分の1以下なので目には見えませんが、花や果実、樹液、土壌など自然界に広く生息しています。なかでも本格焼酎や日本酒、ビール、ワイン、パンの製造に利用されているのは『サッカロミセス・セレビジエ』という種類の酵母です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酵母の好物は糖類。酸素のある環境では、ふつうに呼吸しながらブドウ糖(グルコース)を食べて水と二酸化炭素に分解していますが、液体のなかのような酸素のない環境では、ブドウ糖を完全に分解することができず、アルコールと二酸化炭素が残るのです。

 

これが『アルコール発酵』。私たち人間のためにせっせと酒を造ってくれているようですが、じつは酸素のない条件で酵母が生き延びるための手段だったのですね。

 

発酵の歴史は古く、はるか紀元前から人類はパンや酒を造ってきました。でも、酵母や発酵のしくみなどは知る由もありません。自然に存在する酵母を利用していただけなので、うまくいかないことも多く、酒造りも神頼みだったでしょう。

発酵に微生物が関わっているのを明らかにしたのは、オランダ人のレーウェンフック(1632〜1723)です。自作した高倍率の顕微鏡で、この大きな発見をし、のちに“微生物学の父”と称えられました。

 

微生物の関与がわかっても、酒造の現場では空気中の酵母に発酵を委ねるしかなく、品質は安定しなかったといいます。優良な酵母を1つだけ取り出して純粋培養する方法が発見されたのは1883年。かつては醸造場に住み着いた「蔵付き酵母」を使って酒造していた蔵もありましたが、現在はほとんどの酒造メーカーが純粋培養された酵母を使ったり、自社の優良な酵母を増殖させて酒造りをしています。

 

純粋培養された酒造酵母にも焼酎用、清酒用、ワイン用と適性があり、それぞれに幾種もの酵母があります。酵母はアルコール発酵のほか香りにも大きく関わるので、どんな酵母を使うかで、お酒の性格も異なってきます。

アルコール血中濃度と症状
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