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日本酒と焼酎、どう違う?

日本酒 お猪口と徳利
芋焼酎のお湯割り

日本酒も焼酎も、世界に誇る日本のお酒です。どちらも漢字やひらがなの名前が多く、店頭で隣に並べられていると、見分けがつかないかもしれません。でもラベルをよく見ると、日本酒には「清酒」または「日本酒」、焼酎には「本格焼酎」など「焼酎」という文字が表示されています。

 

日本酒が米を原料に造られているのは、ご存じでしょう。いつごろから造られだしたのか、起源は定かではありませんが、水稲が渡来した弥生時代から米の酒は造られていたと推測されています。

 

焼酎は、サツマイモや麦を原料にしたものが大半ですが、米や黒糖の焼酎もあります。製造技術は15世紀ごろにシャム国(タイ)から琉球へ渡り、16世紀になって鹿児島に伝来したというのが定説です。

日本酒と焼酎の決定的な違いは、「醸造酒」か「蒸留酒」かという点。ものすごく簡単にいうと、日本酒は、米を発酵させて造った「醸造酒」。焼酎は、さまざまな原料を発酵させて造った醸造酒をもとに、蒸留という工程を経た「蒸留酒」です。

 

蒸留酒は、醸造酒から造られるわけです。では、焼酎は、日本酒から造られているのか?確かに日本酒を蒸留すれば米焼酎ができるのですが、日本酒はそのまま飲むように造られた完成品であり、実際の焼酎は蒸留することを前提とした醸造酒から造られています。米やサツマイモや麦を原料とした醸造酒から造られるのです。

 

焼酎と日本酒の製造方法を比べてみましょう。

■共通点

共通しているのは「麹菌」と「酵母」という2つの微生物を活用することです。東アジアの酒造りの大きな特徴で、ワインやビール、ウイスキーなどには見られません。

まず、麹菌が蒸した米や麦のなかで酵素を造り出し、この酵素が原料のデンプンを分解してブドウ糖に変えます。次に酵母がブドウ糖を食べてアルコールを造ります。酵母はデンプンから直接アルコールを造ることはできません。麹菌の酵素による糖化と酵母によるアルコール発酵が、ひとつの容器の中で同時進行していくのです。

 

■原料米の違い

日本酒や米焼酎の主原料はもちろん米ですが、その他の焼酎の多くも麹原料に米を使います。ただし、焼酎に使うのが食用米であるのに対し、日本酒では酒造好適米。食用米より粒が大きく、それを70%以下の大きさまで精米して使います。米の外側にはタンパク質や脂肪が多く含まれ、日本酒ではそれが雑味となってしまうので外側を削るのです。場合によっては50%〜30%まで精米されることもあります。

 

■麹菌の違い

麹菌にも違いがあります。日本酒では「黄麹」が使われ、焼酎では「黒麹」や「白麹」が使われます。黄麹は、冬に仕込みが行われる日本酒造りには適していますが、気温や湿度の高い環境には適していません。そこで、もともとは沖縄で泡盛の製造に使われていた黒麹を用いて、南九州で焼酎造りが盛んに行われるようになりました。白麹は、黒麹から生まれた変異種です。

 

■酵母の違いと共通点

仕込みは、麹、主原料、酵母、水で行います。酵母にはたくさんの種類があり、焼酎酵母と清酒酵母は別ですが、清酒酵母で焼酎を造る試みもあります。酵母がブドウ糖を食べ尽くしてアルコール発酵を終えるまでには、日本酒も焼酎も約3週間を要します。

 

■決定的な違い

アルコール発酵を終えた「もろみ」はドロドロとして濁っています。アルコール度数は、日本酒が約19%〜20%。焼酎は主原料によって異なり、約14%〜20%です。

日本酒は、もろみを搾って清澄な液体にし、一般的には加熱して微生物の働きを止めたのち、水を加えてアルコール度数15%程度に仕上げます。

焼酎は、もろみを蒸留して透明な液体にします。アルコールの沸点が水より低いことを利用し、もろみを加熱してアルコール成分を優先的に気化させて取り出し、それを冷却して再び液体にするのです。蒸留した焼酎原酒のアルコール度数は、芋焼酎で37〜38%、米焼酎では42〜44%もあります。これに加水して、一般的には25%に仕上げます。

 

■熟成の違い

日本酒は搾りたての新酒から飲まれ、特殊な貯蔵酒を除いて、一般的には1年以内に消費されます。糖分を含み、焼酎に比べて味や香りの成分が多いので、時間の経過とともに品質が劣化する心配もあるからです。

焼酎は糖質ゼロで、貯蔵することで熟成が進み、コクとまろやかさが増していきます。蔵ごとによりよい熟成のための貯蔵方法が工夫されており、なかには3年以上貯蔵された焼酎も。3年以上貯蔵された焼酎を50%以上使った製品のラベルには「長期貯蔵」と記されています。

 

■飲み方の違い

アルコール度数15%前後の日本酒は、そのままストレートで味わいます。常温で、冷やして、燗してと温度はさまざま。製造方法の工夫によって異なる味わいや香りが楽しめます。

アルコール度数25%の焼酎は、オンザロック、水割り、お湯割り、炭酸割り、各種サワーなど好みに合わせてさまざまな飲み方ができます。サツマイモや麦、米、黒糖といった原料に由来する香味がおいしい「本格焼酎」はシンプルに飲まれ、糖分や果汁などを加えてサワーにされるのは、そのままでは無味無臭に近い「甲類焼酎」です。

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