春近し、ふきのとう
先日、ふきのとうを採取したのでFacebookに投稿してみると、「なんですか、それ?」というコメントをもらった。ふきのとうを採ったこともなければ、見たこともない人もいるのだろう。もちろん食べたこともないに決まってる。
ふきのとうは、ふきの蕾の部分だ。花が開いてから地下茎が伸びていって葉っぱのついたふきになる。JAの出荷ランキングを見ると、福島・群馬・山形・新潟・秋田がベスト5なので、寒い地方に多いのだろう。
私の住む温暖な地方では、2月中旬がふきのとうのシーズンだ。かみさんの誕生日あたりがピークなので、毎年忘れようもなく採取しに行く。めったに積雪もなので、残雪の下からふきのとうがひょっこり頭をもたげているというような美しいシーンはないけれど。
お酒と文化
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春近し、ふきのとう
ふきのとうは、たいてい毎年、同じところに生えてくる。山や沢の傾斜地や、河川の土手、田んぼのあぜ道なんかがポイント。畑の端っこに群生しているようなものは、栽培している可能性が高いので、勝手に採取したらいけません。
でもウチの近所の田んぼの角の斜面に、毎年、大量のふきが育っているので、ある日、田んぼにいる人に「あの斜面のふきのとうを譲っていただけませんか?」と交渉してみたら、「いいよいいよ、いくらでも採って」だって。ラッキー!
でもそうしてしまうと、ふきのとうハンターの楽しさも薄れてしまう。だって、栽培されてるのを採ってるみたいなもんだもん。これは完全なエゴなのだけど、私はできるだけその他のポイントへ出向き、わざわざふきのとうを探している。
2〜3時間かけて、目標の30個ぐらいを採取したら、終了。その日のうちに料理だ。
ふきのとうは、苦い。苦いは、春の証拠。苦さを取り除くような食べ方は厳禁である。小さめの10個ぐらいは天ぷらにする。天ぷらを揚げるのは私ではなくかみさんなので、文句たらたら聞かされるのもかなり苦い思い。
残りの20個ほどは、ふき味噌にする。まな板が真っ黒になるほど細かく刻み、フライパンで炒め、味噌+砂糖+酒で味付けする。これは私の仕事なので、かみさんはニヤニヤしながら見てるだけで何も手伝わない。
できあがったら、煮沸消毒したビンに詰める。冷蔵庫で1カ月は持つと書かれているサイトもあるけど、半年くらい平気じゃないかと思っている。炊きたてのごはんに、ふき味噌を乗せて、パクっといってみ!いくらでも食べられるよ!
【ふきのとうにおすすめ】
花泉 純米酒
花泉酒造(福島)
ふきのとうの苦みやフレッシュさを引き立ててくれるのはやはり純米酒だろう。香りは穏やかで米の旨みと程よい酸が心地いい昔ながらの定番酒。
澤屋まつもと純米
松本酒造(京都)
さすが伏見の老舗。かといって大手のような造りではなく、昔ながらの丁寧な手法を貫いている。日本の料理の美しさや美味しさを知る抜いている
加賀鳶 山廃純米
福光屋(金沢)
コンセプトワードは粋。米のうまみを大切にしながらもキレがある。ふきのとうの苦みと重なって、これぞ山廃仕込みならではのうまさ醍醐味。
根来桜
吉村秀雄商店(和歌山)
ねごろざくらと読む。山廃仕込みでサラっと飲める酒質ではないけれど、古来の手法を守った気取らないうまさがなぜか野菜類の天ぷらに合うのだ
久保田 百寿・千寿・萬寿 3本セット
朝日酒造(秋田)
誰もがご存じの有名銘酒。百寿は辛口で飲み飽きない特別本醸造。千寿は綺麗でスッキリした吟醸酒。そして萬寿は華やかな香りと重厚な味わいの純米大吟醸酒。ふきのとうを味わうなら百。魚介類の天ぷらもあるなら千。お酒だけを味わうならもちろん萬